back

カルト的キリスト教に注意を!

 

 最近、アメリカでカルト(強力なマインドコントロールによる人格破壊の恐れのある宗教団体)にリストアップされているキリスト教会が、正統的キリスト教を装い、巧みな勧誘を、特に中高・大学生など若い人々に対して展開しています。

 その教会のひとつが、渋谷区富ヶ谷にある「東京キリストの教会」(Tokyo Church of Christ)です。この教会は、御茶ノ水に本部のある正統的なチャーチ・オブ・クライスト系列の教会とは、まったく別の団体で、アメリカではボストン運動とも呼ばれる団体です。以下に、3年半ほどこの教会に所属し、7年前脱会した女性が私に宛てた手紙の一部を引用します。

 

「入信すれば、彼は必ず彼の人生を教会のために犠牲にするように言われます。メンバーたちとの共同生活をさせられ、仕事や勉強など、現在しなければならない重要な役割を放棄させられます。伝道して出会った人が脈あり(彼らはオープンという言葉を使う)だと思ったら、最高のチームワークで、獲得するまで働きかけます。バプテスマを受けたら後に引き返すことは難しいです」。

「聖書に忠実、またそれを実践しているのは世界に自分たちの教会しかない。他の教会の人々は残念だけれどみな地獄へ落ちる。ノンクリスチャンの人々はあなたによい影響を与えないから伝道以外の目的で会ったり、遊んだりしないほうがよい。親兄弟と暮らしているとあなたは霊的に成長できないから離れて、教会の兄弟姉妹と暮らしたほうがよいとか、いろいろな注文を付けてきます。私自身もそうでしたが、あの教会は非常に熱心な正統な教会に思われ、それがとても危険なカルト集団であることになかなか気づくことはできないようです」

 

 この方は、3年半の教会活動に疲れ果て、最後は体が動かなくなり脱会したそうで、若い人たちが、このような宗教に捕まり、貴重な若い日々を無駄にすることがないよう今は、同じ脱会者同士で連絡を取り合い、救出活動を始めています。

 近年オウム真理教や霊感商法が社会問題となっていることもあり、この教会も以前ほど強力なマインドコントロールを使った勧誘はしていないという人もありますが、最近TBSのドラマ「協奏曲」(金曜夜10時)で、主人公の若い建築家(木村拓哉)が建てた教会として「東京キリストの教会」の礼拝堂がロケで用いられたこともあり、今後さらにこの団体が、巧みな勧誘活動を強化する恐れがあると思います。くれぐれも注意してください。

 この教会についての邦語の文献としては、スティーブン・ハッサン著(浅見定雄訳)『マインドコントロールの恐怖』(恒友社)p.209-220があります。なおインターネットが使える環境のある人は、以下のサイトにアクセスすると、この団体の問題性を指摘した論文や、脱会者の手記などを読むことができます。

http://www.ex-cult.org/

http://student.uq.edu.au/~py101663/zchrcult.htm

http://www.vcnet.com/measures/TDD.01.html

199611

恵泉女学園大学 川島堅二(キリスト教学) 

(学長の承認のもと、個人名でこの文書を恵泉の高校・大学で配布)