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「摂理」献金年間1億円超、教祖の逃亡資金にも

Asahi.com 2006年07月31日11時19分より

 鄭明析(チョン・ミョンソク)教祖(61)=強姦(ごうかん)容疑で国際手配=から女性信者らが性的暴行を受けているカルト集団「摂理」に対する信者の献金実態が、脱会者の証言などでわかった。学生は最低でも週に1000円を納め、社会人になると月給の1割とボーナスを差し出すこともあった。少なくとも年間1億円を超す資金が集められており、海外へ逃げても高級住宅に潜む教祖の逃亡資金にもなっているとみられる。献金額が多いほど集団内で評価され、生活に困窮する若者も目立つという。

 脱会者によると、約2000人の信者の半数を占めるとされる学生の場合、毎週の「日曜礼拝」で最低1000円前後を納めている。「教会」幹部は、毎月第1週分の献金を全額、日本側責任者である韓国人女性幹部のもとに送っている。残りを各教会の運営費などにあてるという。

 社会人の場合には、月給の1割を献金し、賞与が出れば「ボーナス献金」も求められる。教会の運営資金が不足したり、新たに教会で車を買ったりするときには「特別献金」も要求された。こうして、年間1億円以上の資金が集団側に吸い上げられているという。

 関西に住む30代の元女性信者は大学卒業後、社会人になって年間約150万円の献金を続けた。「多額のお金を出せる人は信仰がいい人とみなされた。出さないといけない状況に追い込まれていった」と話す。

 大手企業の社員や医師など高収入の信者が多い関東の教会では、月に数百万円が集まったとされる。東京都内には男性信者が経営しているというコンピューター関連会社もある。

 献金の使途は、末端の信者には明らかにされていないが、信者歴10年以上の30代男性脱会者は「教祖や女性幹部に流れているというのが周知の事実だった」と言う。海外で逃亡中の教祖に高級住宅を用意するため、数千万円の預貯金を解約した男性信者もいたという。

 また、集団の活動が社会問題になる前の97年ごろには、韓国中部の「ウォルミョンドン」にある本拠に施設を建てるとして、女性幹部が日本の信者に1人10万円の献金ノルマを命じた。経済的に余裕がない学生信者たちも夏休みのアルバイトで稼ぎ、数千万円が集まったとされる。

 一方で、信者たちは教祖側から「豊かになるのは悪だ」とも言われ、質素な暮らしを強いられている。コンビニエンスストアで安価なパンを買い、飲酒も「霊が死ぬ」として禁じられている。

 元信者の男性(24)は「今から思えば、教祖は本来の目的を隠し、あの手この手で金を巻き上げるために信者を利用したのだろう」と話している。

出典:http://www.asahi.com/national/update/0731/OSK200607310029.html