Hさんの体験手記
私が所属していた団体はネット上でモーニングスターと呼ばれているものです。今はこの名前では呼ばれていません。みな「摂理」と呼んでいます。少なくとも私の所属していた教会ではそうでした。
活動内容は新約聖書、旧約聖書に基づいた説教を毎朝聞き、その他に水曜日の夜と日曜日の夜、金曜日のお祈り会があります。また、メンバーたちが「器」と言うものを作ってそこでも活動があります。具体的には「聖歌隊」、「サッカー」、「バレー」などです。学校の部活のようなものです。他にも教会によって「卓球」、「勉強会」、「ゴスペル」などがあるようです。
メンバーは多くの時間を「摂理」に費やします。睡眠不足and疲労で体調を崩す人も結構いました。不定期に行われるコンサート、芸術祭、他教会のメンバーの訪問などの行事もあり「摂理」で行われている全ての行事に参加しようと思ったら、普通の時間はほとんどなくなります。テレビを見る時間、メンバー以外の友人と会話する時間、勉強の時間もなくなり、大学で留年する人もいました。(学生の場合です。社会人はあまり教会の行事には参加しません。)特に入って間もない人はほぼ全ての行事への参加が暗黙の了解で義務付けられています。学生=時間のある者として扱われ、睡眠時間2時間くらいで昼夜関係なくとにかく教会のために働いた時期もありました。
まあここまではそれほど問題はないと思います。厳しいサークルや多忙な学生、社会人などでもこのくらいのことはやっていると思いますから。問題なのはメンバー全員が教祖=キリストとして崇めていることです。私はそのことをずっと疑問に思ってきました。教祖に関するスキャンダルなどを知っていたわけではありませんが、ビデオで説教をしているところなどを見てもとてもキリストには見えませんでした。まあ見かけだけで人を判断してはいけませんが。
彼らは文化、芸術でこの摂理を広めるといって、正体を隠しスポーツに誘ったり、コンサート、芸術祭に感じのよさそうな人、まじめそうな人を誘い、しばらくの期間様子を見てから私たちは聖書を勉強していると切り出し、いっしょに勉強しないかと誘います。その人が了解すると「バイブルスタディー」というものが始まります。「30講論」と呼ばれるものと内容はまったく同じです。ネットで話題になっているので改名したのでしょうか?ここでその人の聖書、キリスト、神様、中心人物、に対する価値観を教えられます。新入生は「新しい人」とよばれ、基本的に連れてきた人がその人のことをリーダーに報告しているようです。私がバイブルスタディーを受けている時に講師(といっても2〜3年以上学んでいればこの役を貰うこともある)に言った内容が次の日にはもう多くのメンバーに知られていたことがあり、驚いたことがあります。友人にも話したことがないようなプライベートなことだったので結構ショックでした。基本的に新しい人には限られた情報しか与えられません。
「摂理」のメンバーはみな輝いていて、外見的にもかっこいい人や美しい人が多く、熱心にやさしく色々な指導をしてくれます。決して作り物のやさしさなどではないと思います。
私は彼らの輝きに引かれて入りました。けれどもどうしても教祖=キリストとは信じられませんでしたが、あれだけの人たちがそういうのだから自分には理解できない何かがあるのだろうと思い、脱退するときまでその思いを殺し説教を聞いてきました。
私が脱退する直接のきっかけとなったのは「バイブルスタディー」が統一教会の教理と酷似していたことを偶然知ったからでした。他にも小さな疑問点はたくさんありましたが。そのことをリーダーに告げると、「統一教会のリーダー文鮮明と先生は同じように霊界でイエス様の教えを受けていたから最初の方はほとんど同じなのだ」といわれましたが、いまさらとって付けたようにそのようなことを言われても信じることはできませんでした。確かに「摂理」は統一教会が行うようなあからさまなマインドコントロールや莫大な額の献金、霊感商法などを行っているわけではありませんが、私自身「摂理」についてほとんど知らなかったので、悪いことは何一つやっていない団体だとは思えません。2ちゃんねるの書き込みなどを見ても「そういえば…」と思える点がありました。私の「摂理」、「先生(教祖のことです)」に対する思いは一気に崩れてしまい脱退を決意しました。
2002年1月27日記