Jさんの手記
私は、ひょんなきっかけで以前に入っていたスポーツサークルが摂理という宗教団体であることを知った。さらに詳しく調べて取材した結果、この団体の教祖が健康チェックと称して、女性に対して性行為を含むセクハラ行為を強要したとの証言が相次いだ。
メールでの交渉の結果、元摂理のメンバーと接触できた。その女性は、教祖からセクハラ被害を受けたそうである。彼女は、その事実を知っている幹部やリーダーに対してセクハラ被害について訴えたが、とりあってもらえなかったそうである。さらに悪いことに、幹部やリーダーたちは何も知らない摂理内のメンバーに対して、その女性が証言することはすべて嘘であるとか、摂理を攻撃する悪魔だと言って事件をもみ消そうとしたそうである。セクハラ事件の事実を知っている幹部やリーダーたちは、キリストの再臨である教祖のセクハラ行為(健康チェックと称して、女性に施す婦人病予防)を宗教的に意味があるものと信じきっており、犯罪行為とは思っていない。たとえ彼らは犯罪行為だと認識していても、教祖から得た益の大きさと比較すれば、セクハラ行為などたいしたことではないと思っているようである。ところが、彼らは健康チェックの事実を摂理内で公表しようとしない。なぜなら、公表するとそれにつまずいて多くのメンバーたちが摂理を離れてしまうことと、世の中から激しい批判を受けることが避けられないことを知っているからである。しかし、教祖の健康チェックによって心を傷つけられた多くの女性たちや事実を知らない摂理メンバーたちの気持ちを考えると、幹部やリーダーたちが事実を隠し続けることは決して許されるものではない。
事実を知らない摂理メンバーたちは、一様に教祖のセクハラ行為はありえないと否定する。その理由を尋ねると、もし教祖の犯罪行為が事実であるならば、自分たちが経験してきた奇跡が起こるわけがないからという理由である。その奇跡とは、「摂理で真理を学ぶことによって、人が変わる奇跡」、つまり、今までの罪深い古い人格から脱皮し、より良い新しい人格を身につけることができるというものである。しかし、教祖の犯罪行為を否定する要因は別にもある。摂理では、メンバーが悩み事を抱えた時に、何事でも指導者に相談することになっている。メンバーたちが、もしかしたら教祖の犯罪行為が事実かもしれないと指導者に相談しても、絶対的立場にある彼らが「嘘だ」と言うと、すべてそれが真実だと思い込んでしまうそうである。これだけ、教祖の犯罪行為が取りざたされているのだから、事実かどうかを調べてみる必要があるのではないか?と勧めても、指導者たちからの締め付けが強くて、現メンバーが脱会者と連絡をとることは非常に難しいのが実状である。
摂理内部の人々、脱会者、その他多くの人たちの意見を聞くことによって、現摂理の人たちも脱会者たちも非常に真面目で良い人たちだという共通点を見つけることができた。また、彼らの違いが、摂理の教えという視点で神を信じているかどうかということであることも知ることができた。脱会者たちが、摂理の教えという視点で神を信じることができなくなった理由は様々である。取材の結果、週刊ポストに掲載された女性たちのように教祖からセクハラ被害を受けて、摂理の教えや神を信じられなくなった方たちが数多くいる事実も分かった。このように教祖からのセクハラ被害を受ける女性を増やさないようにするために、我々に何ができるだろうか?今後も取材活動を続けて、その方法を模索したい。
2002年11月18日記