第6章 石笛神授の実例
大正13年11月28日夜、出雲大社参拝の用意をして就寝せしに正夢に大己貴神御出現ありて神示あり。その大要は「神は明日、静の岩窟に行く。汝その岩窟まで来たれ。しからば石笛を授くべし。汝神にねぎ言ある時は、必ずその石笛をもって降臨を願うべし。必ず我降らん。我に支えある時は、汝の祖、天穂日命神降りすべし。必ず心して忘るるなよ」と申され、たちまち我に返り、何はともあれ神示に基づきて大社参りは中止して、静の岩窟に行くべく早朝出発す。(中略)入口の高さ7尺、横幅2間にして左右2個の口あり。眼鏡のごとし。左の方に鳥居あり。洞内各々高さ1丈5尺、奥行き25間、横2間に余り。俗に千畳敷の岩窟という。洞内一面の白砂のみにして石はなし。奥に高さ丈余の石碑ありて大己貴命を祭る。余(武田氏)は近き人家の清水にて口中両手を清め、洞内深く入り、浄身鎮魂を行いしところ、ピカット光って大神出現になり「汝よく来れり。これを取らす。昨夜申し付けたる事を忘るべからず」と申され直ちに白煙のごとくに消えたもう。余は直ちに昇神詞を言上して、その石笛は何処にあるやと見しに、ただ暗くして何処とも定かならず。如何せんと思う中に、洞内段々明るくなりたれども、一面の白砂のみ。然るに前方3尺の所にあたりてピカット致し、何かあるように見ゆれば、進みよりて手に取るに実に奇妙なる石笛にて直ちに吹き見るに、音色世の常の物と異なり、神さびたるものにして、その形、静の岩窟の形にて瑠璃石の如くなれども、何とも知れぬ奇異なる石質にてありしと。(天行居師範 武田玄雷先生の原文)
(小西雲鶴『禊法鎮魂帰神法實修釈義 全』昭和2年4月5日発行 p.51-52より 一部旧かなを新かなに直す。)