5章 天の磐笛の由来

 

天の磐笛の一名をまた石笛ともいう。本朝事始によると磐笛は文武天皇の朝に到って廃したといっているが、それ以前においてはよく使ったものらしい。文武天皇の朝に磐笛を止めて横笛をもてこれに代えたと記されているのを見ても、上古においては横笛の用を弁じたものであろうと思われる。今、神典により、その出所を求めれば、八重事代主神(ヤエコトシロヌシノカミ)が磐笛を作って、瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)に奉って賓祚(ヒンソ)の無窮を祝福せられたるのがそもそもの蒿矢であろう。されば決して本田先生が発明せられたものでも何でもない。ただ帰神の場合、琴師を要するのであるが、その琴師の代わりに本田先生が神の啓示によって磐笛を用いる法を始められたのである。帰神法は神功皇后の條に記載せられている通り、神主審神者琴師の三人を要するのであるが、本田先生直伝の帰神法においては、審神者が磐笛を吹奏して琴師の役をも兼ねるのである。これも神界より奇跡的に授けられるものである。次に天行居の山陰道場の師範をしておられる武田玄雷先生が大己貴命(オオナムチノミコト)より磐笛を授けられた記事を録して参考にする。(6に続く)

 

(小西雲鶴『禊法鎮魂帰神法實修釈義 全』昭和245日発行 p.49-50より。一部旧かなを新かなに直しています。)

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最終更新日200922